『4522敗の記憶』

今週のお題「2013年に買って良かったもの」
今年はいろんな本を買いましたが、なかでも一番だったのは『4522敗の記憶 ホエールズベイスターズ 涙の球団史』(村瀬秀信/双葉社)です。球団の盛衰(特に98年の優勝とそれ以後の低迷)、選手・フロントらの愛憎溢れるインタビュー(下に引用あり)、ファンである作者の思い入れたっぷりの文章――私は球団のファンではありませんが、そんな人間の胸をも熱くするドラマが詰まっています。

「ぼくは、横浜が好きなんです。ベイスターズは地元横浜に愛されていると思うんですよ。〔略〕ファンの人たちに信じてよかったなって思ってもらいたい。今はそれができてないけど、それでもやるしかないんです」(283ページ、三浦大輔
「僕がホークスに来て勝てているからといって、ベイスターズのことが気にならないかと言えば、そうじゃないんですね。」(290ページ、内川聖一
「もう引退して30年近くになるけど、野球人としてはやっぱりもう一度ユニフォームを着たいという夢はありますよ。ただ、横浜以外は考えていない。僕は腐ってもカミソリシュートの平松政次ですからね。」(292ページ、平松政次
「大洋・横浜は私の人生を幾たびも狂わせる存在ですからね。良きにしても悪きにしても。〔略〕でもね、後輩たちが今グラウンドに散っていく姿を見てると、まあ、やっぱり自分の中に愛情があるんですよ。」(293ページ、高木豊

ベイスターズにいる選手、離れた選手、引退した選手、その誰からも愛される何かがこの球団にはあるように思えてなりません。
ファンは勿論のこと、野球に興味がある全ての方にお薦めします。

4522敗の記憶 ホエールズ&ベイスターズ 涙の球団史

4522敗の記憶 ホエールズ&ベイスターズ 涙の球団史