2015-09-29から1日間の記事一覧

第十一段 「神無月のころ……」

【原文】 神無月のころ、栗栖野という所を過ぎて、ある山里にたづね入ること侍りしに、遥かな苔の細道をふみわけて、心ぼそく住みなしたる庵あり。木の葉に埋もるる懸樋のしづくならでは、つゆおとなふものなし。閼伽棚に菊・紅葉など折り散らしたる、さすが…