『みことの一手!』単行本を読む(2)

今回は、主要人物4人について。『みことの一手!』については他の方が優れたレビューを書いていますので、私としては一介の囲碁ファンなりに思い至った点を綴ります。
太字の部分は順に名前、段級位、大会成績(全国、都あわせて)、単行本カラーページにある紹介文です。

楠みこと(八段格/2勝4敗)
「高校生ばなれした棋力を誇る主人公。でも地味。」
 みことと蛍の棋力については「八段」(60p右)とあるので、正式な免状をもらっていないと考えられる。とはいえアマ棋士としては非常に強いはずなのだが、蛍との対局や東京都予選では弱さが目立った(第5話の対局で引き分けに持ち込んだのは唯一の例外)。
 転機となったのは、蛍に代わって大将を務めた全国大会。「地位が人をつくる」というべきか、「覚醒した」というべきか。昨年度優勝校の桐島や、蛍のライバルを自任する(それだけの棋力を有する)足利華子を破った姿には凛々しささえ感じられた。
 この作品は高校時代で終わっているが、もし続いたとしたら……「たら、れば」は禁物だが、つい将来を想像したくなる人物である。
鷺宮蛍(八段格/4勝)
囲碁の星からやってきた無敵の囲碁星人(?)」
 蛍で印象に残るのは強さでも奇矯な言動でもなく、髪。これは筆者の推測にすぎないが、髪の「白」は高校囲碁界で無敵の上手(うわて)であることを意味しているのではないかと。
 囲碁に対する姿勢は真摯で、みことに対する厳しい態度もその表れか。一介の級位者としては「仰るとおりですが……」と内心反発したくなる場面もあったが、強いゆえに正しいのもまた事実。ストイックともいえる修練と輝かしい実績は、(二次元とはいえ)アマ棋士の手本といえよう。
早河葵(5級/3勝3敗)
「攻めも受けもいけるオールラウンダー。」
 5級といってもネット上の棋力か大会等の認定棋力かで強さが異なるが、いずれにせよ絶対的棋力が高くないのは事実。全国大会では完敗だったが、彼女の涙に胸を打たれた。
 とはいえ、都予選では3勝1敗と活躍。妄想やら百合やら盤外の言動が目立ったが、だてに囲碁部の軍師をやっているわけではなかったということか(84p右)。
 全国大会後は、碁会所に通っているとのこと。みことや蛍などと肩を並べるのは難しいと思うが、(棋力が近いこともあり)どこか応援したくなる一人である。
白河文香(級外→25級→20級/1勝1敗)
「純真無垢な新入部員。」
 囲碁部と茶道部を掛け持ちしている。さらに「艦隊これくしょん」では駆逐艦として登場と、活動の幅が広い(筆者注・似たキャラがいるだけです)。
 棋力に関しては入門者そのもの。しかし全国大会1回戦で勝ったときには、驚きを通り越して唖然とした。ついで不戦勝とわかったときには「よくやった!」と快哉を叫んだ。形はどうあれ、大会や部の歴史に名を刻んだ快挙である。素直で可愛いものの殆ど部の戦力になっていなかったが、この大会で名実ともになくてはならない存在となった。
 文香は全キャラの中で唯一、段級位の上昇が明記されている。最終話で「40級を目指すのです!」と言っているが(111p左)、この部にいれば4級にも四段にもなれそうな気がする……勉強方法を間違えなければ。
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以上、半ば思いつくままに書きました。しかし囲碁も漫画も技術や知識が浅いゆえ、内容が未熟になったのは否めません。
それでも、この記事を読んだ方に少しでも『みことの一手!』の魅力が伝わればと思います。

みことの一手! (まんがタイムKRコミックス)

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