「宝酒造杯・東京大会(2)」に行ってきました・その3

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8月30日付「その1」
8月31日付「その2」
前回までの経過:1勝2敗(残り2局、4級認定まであと2勝)
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【四回戦・M4級:白番
級位認定にむけてもう負けられないということで、精神的に追い詰められていました。

本局のハイライトはこの局面でした(画像は、記憶をもとに再現した部分図です)。ここでAと打てばなんでもなかったのですが、Bと打ってしまいました。相手にBと打たれたら欠け眼になる……と錯覚したのです。見逃してもらえるはずもなく、Aと打たれて全体が死にました。
この後は精神的にキレてしまい、ミスを重ねては自分の頬や頭を叩いてぼやいていました。見かねたのか、M氏に「大丈夫?」と声をかけられましたが、大丈夫だ、問題ないと言える精神状態ではありませんでした(実際には「すいません、大丈夫です」と答えました)。
結果として、上図の死活は本局のすべてとなりました。
結果:33目半差負け
M氏「あの死活(上図)が勿体無かったね」
筆者「ええ、投了しようかと思いましたが……折角なので最後まで打とう、と」
M氏「そうだね、これは大会だけど練習の場でもあるから」
M氏から、大会での心構えを教わった気がしました。
【四回戦終了後】
負け越しが決まり、傷心のまま記録係のもとへ報告に行きました。
記録用紙を提出したあと、「級位者は五回戦の代わりに吉原先生の指導碁が受けられる(抽選で3名まで)」のを思い出しました。どうせ級位が認定されないのなら、ダメもとで申し込んでみようと再び記録係のところへ立ち寄ってみました。
筆者「さきほど対局を終えた友野ですが……」
係員「友野さんですか!?実は……」

サイン色紙に当選しました。
ステージに招かれ、吉原先生から直に色紙を頂きました。
実は、負け越しが決まった段階で帰ろうかと思っていました。しかし色紙をいただいたことで、「もう一局頑張ろう」という気持ちになりました。
【五回戦・K4級:白番
悪く言えば「消化試合」のこの一局、開き直って臨みました。これまでの四局では「星+小目」でしたが、本局では「両三々」を打ってみたのです。
結果として両隅の地を確保できたので、序盤は悪くなかったと思います。
しかし中盤で失敗し、自分の大石が眼無しになりました。また別の二箇所でも石が死に、「投了」の二文字が頭に浮かびました。しかしサイン色紙を頂く際、吉原先生に「第五局もがんばります」と宣言したことを思い出し、せめて最後まで打とうと思いました。
負けてもともと、せめて一太刀を……と盤面を眺めていると、あることに気づきました。先ほどの「眼無し」を囲んでいる相手の石に、両アタリが発生する可能性があるのです。
なんとか相手に悟られぬよう、すぐには手を出しませんでした。最終盤でヨセを打っているふりをして両アタリを仕掛け、相手が第二線のほうを守ったら中央の石を取る――という作戦にしました。
果たしてそれが成功し、石を取りつつ自分の石が生き返りました。K氏の「あっ!」と言ったときの顔を見て、「やることはやった」との思いでした。
悪い碁だけど、見せ場は作ったよね……などと考えながら整地したところ、「白59目です」とK氏。耳を疑いました。黒は47目です。
勝ちました。「せめて一太刀」どころか、あの石取りがすべてだったのです。もしK氏が両アタリに気づいて中央の石を守ったら、逆に私が大差で負けていました。
結果:18目半差勝ち
(以下、次回)