「初春段級位認定大会」に行ってきました

2月11日、「初春段級位認定大会」(日本棋院市ヶ谷本院)に参加しました。
級位戦では一日に4局打ち、2勝以上すれば申請した級位に認定されます。
昨年の宝酒造杯では4級に認定されませんでしたので、今回も4級と申請しました。昨春に囲碁を再開してから今日まで積み重ねてきた全ての力を、そして自分の体力・精神力・人生観の全てを懸けた戦いが始まりました――
なお予めお伝えしますと、今回は文章が長いです。ご了承ください。
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【一回戦・K5級:定先コミなし、白番
三連星を布いてみましたが、久々すぎて勝手がわからなくなりました。そのせいか辺の石が包囲され、序盤から打ちにくくなってしまいました。
打ちづらさを覚えたまま中盤戦まで進んだので、相手の勢力圏に石を一つ入れました。これがシノぐなり他の石とつながるなりすれば良かったのですが、そもそも無理があったようでほどなく全滅しました。それどころか自分の陣地も大きく減らされ、ヨセの手前で大差がついてしまいました。
結果:中押し負け
不甲斐ない対局ゆえ、局後はひとり悔しがってしまいました。ほどなくして売店コーナーが開店したので立ち寄ったところ、一角に宇城はやひろ先生直筆の色紙が飾ってありました(しばし眺めるうちに気持ちが癒されたのは言うまでもありません)。
【二回戦・Y4級:互先コミ6目半、黒番
連敗すると級位認定が厳しくなるということで、変な気合が入ったまま着席しました。しかし相手のYさんは好々爺然とした穏やかな方で、つられて私も少し落ち着きました。
最近は黒番で「星+小目ケイマジマリ」を打っていますので、本局もその布石にしました。辺での布石に不満はなかったつもりでしたが、中央への進出が遅れたようで不利を感じました。
そこでまたしても、中央に石を放り込みました。勢力を消せれば良し……と思ったのですが、キリで二分されるのをウッカリしていました。片方は辺の石と繋がりましたが、もう片方の数子は奮闘むなしく殺されました(このあたり、しきりにボヤいてしまいました)。
ここで投了しようかとも思いましたが、最後まで打つことにしました。負けは決まった(と勝手に思っていた)ものの投げ遣りな打ち方はせず、ダメ詰めまで続けました。そのせいか終局のころには穏やかな気分になり、力を尽くした充実感さえ覚えていました。
結果:12目半負け
大差だと思っていただけに、内心驚きました。中央の「ウッカリ」が全てだったようです。
【三回戦・K5級:定先コミなし、白番
後がない一局、それも白番ということで、両三々を打ってみました。前の二局では地も勢力も……と欲張って失敗しましたので、本局の布石では徹底して地を稼ぐことにしました。
ただそれでも、ウッカリがでました。相手の小目に対して一間高ガカリを打ったのです。そこから二間にヒラき、相手が三線に肩ツキ(と言うのかな?)を打ったときに気づきました……小ゲイマガカリと間違えたことに。「徹底して地を稼ぐ」と決心した矢先にこの手が出ましたので、頭を抱えそうになりました(もちろん、高ガカリでも「一局」にはなるのですが)。
とはいえ悪い形にはならなかったので、気持ちを切り替えられました。幸いにしてある程度の地を確保していますので、中央への進出にも焦りがなかったです。
本局では相手に見落としが幾つかあったため、気持ちは楽でした(今回はKさんがボヤいていました)。終局時に「整地するほどの差でしょうか(大差ではないでしょうか、の意か)」と聞かれましたが、果たしてそれなりの差がついた一局でした。中央での攻防で十一子を殺せたのが直接の勝因だったようです。
結果:20目勝ち
級位認定に望みがつながりました。三連敗だったら帰ろうかとも思っていただけに、俄かに面白さを覚えました。
【四回戦・I6級:二子局、上手
1勝2敗同士、ともに級位認定を懸けた一局の相手は、小学生です。これまで大会で20局打ちましたが、初めて年下の方と打つことになりました。
初めての小学生との対局、久々すぎる二子局(それも上手)……対局前から戸惑うばかりで、級位認定への執念はどこかへ消えてしまいました。打つうちに私は「近所の子と打つ碁会所のおじさん」と化し、相手が良い手を打つと感心し、見落としがあると(それはだめだよ〜)と言わんばかりに咎める打ち方になっていました。勝負への執着心もいつしか薄れ、過度に気持ちが揺れ動くことはなくなりました。
対局では、まず空き隅に三々で入り、相手の小目には小ゲイマガカリ+二間ビラキをし、置石の隅には三々入りし……など、序盤は徹底して地を稼ぎました。しかしお互いに大きなミスが無かったせいか、形勢が全くわからぬまま終局を迎えました。
整地して相手の地を数え「黒は55目です」と言うと、残念そうな表情が見えました。続けてI君、「白は56目です」。……すぐには信じられませんでした。勝ったのです。
結果:1目勝ち
認定が決まったもののしばらくは呆然とし、I君に悪いことをしてしまったような気さえしました。終局の挨拶も済んだところで一言、「ごめんね」と声をかけました。余計なことかもしれませんが、そうしなければ気が済まなかったのです。
では認定が嬉しくなかったのかというとそんなことはなくて……認定状申請の順番を待っているときに涙が出てきました。
【大会を終えて】
どうにか、目的を果たすことはできました。2連敗から2連勝で認定を得たのは初めてで、「よく心が折れなかったな……」と我ながら驚いています。
しかし、今後さらに上を目指すには一層の棋力向上が必要です。次に参加する3月のローカル大会にむけて、さらに精進を積み重ねていきます。