「ファミコン囲碁入門」vs.「○。○○(Lv.12)」第1局(対抗戦・8)
友野「第四回戦を行うにあたって、対抗戦のルールを一部変更します」
対抗戦のルール(一部を再掲のうえ、変更点を太字で表示)
山西「これ、「ファミコン〜」にルールを合わせたのか」
友野「そうそう、盤面もコミも」
野田「おい、箱にある「出題 石井邦生九段」って何だ」
友野「このソフトには棋力認定問題があって、そこの出題者が石井九段なんだ」
山西「ちょっと待て、それじゃ「日本棋院が本気を出して石井九段とタッグを組んだ」は大袈裟だろ」
友野「そうでした、ごめんなさい」
野田「おいっ!!」
7月31日、「囲碁九路盤ゲーム」vs.「Go-Up!」対抗戦
第四回戦・第1局
第一譜、●13(P4)まで
アゲハマ、なし
友野「対照的な布石ですね」
飯塚「うーん……こんな碁は見たことない」
山西「白は固まりすぎじゃないですか」
飯塚「たしかに。しかしまだ序盤だからいくらでも挽回できるだろう」
第二譜、●30(L18)まで
アゲハマ、なし
友野「あれ?」
野田「おい」
山西「右下……」
飯塚「うーん、見落としがあったようだ」
友野「"見落とし"で済めば問題ないのですが……」
第三譜、○50(F17)まで
アゲハマ、白1(●37:N2)
友野「ところどころ、黒の形が不安定ですね」
飯塚「うーん、特に上辺の石が」
山西「まあ、黒は左下の地を確保できたようだし、これからだろ」
友野「だといいんだけど」
第四譜、●71(C11)まで
アゲハマ、白1(●37:N2)
野田「おいっ!!」
山西「えぇ、シチョウの逃げ出し!?」
飯塚「友野君、もしかしてこのソフトは……」
友野「……」
第五譜、○110(C18)まで
アゲハマ、黒1(○64:B12)、白1(●37:N2)
友野「強い……強すぎる……」
野田「おい、逆だろ」
山西「いいのか、こんな展開で」
飯塚「うーん、これは……」
第六譜、●151(R16)まで
アゲハマ、黒1(○64:B12)、白4(●37:N2、●103:E11、●111:E10、●127:F10)
友野「ある程度予想していたが、ここまでとは……」
飯塚「うーん、黒は右辺から中央の一団がなんとかなりそうだけど、他はねえ」
野田「おいおい……」
山西「……」
第七譜、○180(H7)まで
アゲハマ、黒1(○64:B12)、白8(●9:N17、●15:O18、●19:N18、●37:N2、●103:E11、●111:E10、●127:F10、●155:P19)
友野「下辺の黒も死んだか……」
野田「おい、右辺も何目になるかわからんぞ」
飯塚「うーん、全滅はなさそうだけど……」
第八譜、○200(F8)まで
アゲハマ、黒2(○64:B12、○142:R15)、白8(●9:N17、●15:O18、●19:N18、●37:N2、●103:E11、●111:E10、●127:F10、●155:P19)
山西「もう対局を止めろ!これ以上続けたら……!!」
野田「おい、何を言ってるんだ」
山西「じゃあ聞くが、これが対抗戦のラストに相応しい内容か!?」
友野「でも、ソフトは打ち続けているし」
山西「だからって、こんな碁を無責任に紹介し続けて良いはずがないだろう!」
友野「なんだと、この……」
飯塚「はいはい。みなさん。落ち着いて。」
野田「おいっ!!」
飯塚「古かったかな?」
野田「そういう問題じゃない!!」
友野「……まあ山さん、言いたいことはわかる。しかしあなたはこのソフトの真髄を知らないんだ」
山西「なに……?」
友野「このソフトのCPUは、あまりにも不利になると……投了するんだ」
山西「ええっ!?」
野田「おいっ!!!」
飯塚「うーん、そんな機能があるのか」
友野「もう勝敗は見えています。しかし「囲碁入門」は打ち続けているのです。ならば見届けましょう……私達にできることはそれしかありません」
山西「そうか……わかった」
第九譜、○272(O9)まで
アゲハマ、黒4(○64:B12、○142:R15、○154:H5、○172:J19)、白14(●9:N17、●15:O18、●19:N18、●37:N2、●103:E11、●105:F12、●111:E10、●127:F10、●129:G12、●135:G13、●137:G14、●139:H14、●155:P19、●235:N12)
山西「……だからってこういう碁を投了しないのもなんだかなあ」
友野「もしかしたら、いや、もしかしなくても形勢判断に難がありすぎる……」
飯塚「うーん、しかし健気だね「ファミコン囲碁入門」は」
野田「おいっ!」
終局図、○294(O1)まで
アゲハマ、黒4(○64:B12、○142:R15、○154:H5、○172:J19)、白15(●9:N17、●15:O18、●19:N18、●37:N2、●103:E11、●105:F12、●111:E10、●127:F10、●129:G12、●135:G13、●137:G14、●139:H14、●155:P19、●235:N12、●273:R10)
白番、305目勝ち
(中国ルール:白番、312目半勝ち)
山西「……終わった」
飯塚「うーん、よく最後まで打ったものだ」
野田「本当だ、まったく……」
友野「……」
野田「おい」
山西「どうした?」
友野「いや、なんかね……清々しい気分なんだよ」
野田「ほう……?」
飯塚「うーん、投了せず打ったからかな?」
友野「それもありますが、一般向けの対局CPUが年月を経てこれだけ強くなったんだな……と、歴史に思いをはせていたんです」
山西「そうか、ファミコンで十九路を打てるソフトなんてほとんど無かったんだよな」
友野「そうそう、それも当時は何千円もしたのに、今は無料で打てるサイトやソフトさえあるんだから」
飯塚「うん、囲碁ファンにとっては恵まれた時代になったな」
友野「そうですね」
野田「おい」
友野「なんだよ」
野田「これ、第1局だろ」
友野「そうだよ」
野田「第2局もあるんだよな」
友野「えー、どうしようかな……」
野田「おいっ!!」
山西「もう一回打たなくても、第四回戦の勝敗は見えてるだろ」
飯塚「うーん、305目差だからねえ」
友野「……そこでひとつ提案があるのですが」
野田「ほう?」
友野「この第四回戦はエキシビション(非公式)ということにして、対抗戦の結果は「引き分け」ということにしませんか?」
野田「この段階で言うか!」
友野「だってファミコン囲碁入門が連敗したせいで「日本棋院が負けました」なんて言った日には、棋院に喧嘩を売ったなんてレベルじゃ済まないでしょう」
野田「おいっ!!!」
飯塚「うーん、しかし一理ある」
山西「まあ、お前が企画したんだから、判断は任せるよ」
友野「わかった」
友野「……ということで連載でお伝えした「「囲碁九路盤ゲーム」vs.「Go-Up!」対抗戦」、結果は以下の通りといたします。最後まで読んでいただき、ありがとうございました」
第一回戦・「ひかるくん‐○○○(Lv.3)」……1勝1敗、引き分け
第二回戦・「ゆかりちゃん‐○○(Lv.6)」……1勝1敗、引き分け
第三回戦・「おわせんせい‐○○○(Lv.9)」……1勝1敗、引き分け
エキシビション・「ファミコン囲碁入門‐○。○○(Lv.12)」……「Go-Up!」1勝(ただし対抗戦の勝敗には関係なし)
対抗戦の結果:引き分け